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[心を頂く]

京都は宮津というところに「飯尾醸造」という”お酢や”さんがあります。
そう、かの有名な「富士酢」の醸造もとです。

WEBサイトを見れば分かる通り、飯尾醸造は、質より量という時代から「食」という事柄について真摯に取り組んでいます。それこそ「スローフード」や「オーガニック」といった言葉が無い時代から(このことについては書き出すと長くなるので、今回は割愛)。この姿勢・理念(もちろん味も)に心を打たれた我が家は、結婚以来、富士酢を愛用してきました。

その飯尾醸造が、昨年、あの木村さんのリンゴを使った酢を造りました。

その事を知った時、農を学び関わった経験のある私は胸が躍りました。「果たして一体どのような味がするのだろう」。そこで早速、飯尾醸造に林檎酢を注文することにしました。しかし...時既に遅し。そう、残念ながら完売となっていたのでした。

それから約1年後の昨年末。
今度は出遅れないようにと、飯尾醸造に確認(予約)のメールを送りました。
すると、その日のうちに「まだ大丈夫ですよ」との返事が。
おー、遂に口に出来るのかー。楽しみだなぁ...と喜んでいたら、2通目のメールが送られてきました。そこには、次のような内容が書かれていました。

「来年(2007)の1月、新宿伊勢丹で催される「京都店」に当店も出店致します。林檎酢も限定で販売致しますので、もしお立ち寄りの歳はお声をおかけ下さいませ」

あれま、なんと。

「うーん。いち早く林檎酢を口に出来るというのは魅力だなぁ」
「でも、稀少なモノだからなぁ。一人でも多くの人に渡った方がいいよなぁ」

行けばきっと買いたくなるだろう。
でもまぁ、今年は既に予約しているからなぁ...
で、ちょっと悩んだ挙げ句、京都展行きは見送る事にしました。

しかし...
その後、頂いた2通のメールを読んでいる内に、その心のこもった文章にいたく感動してしまい...どうしてもこのメールの書き主に会いたくなってしまいました。
よし!買う買わないは二の次だ。
てなわけで、予定を変更し京都展に足を運ぶことにしたのでした。

・・・

会場には色々なお店が集まっていましたが、私は特設会場に到着するや、真っ先に飯尾醸造のブースへと向かいました。
仮設の店先には、多種多様のお酢達が所狭しと並べられていました。
そのお酢達に目を奪われていると、店番をしていた(5代目)から「宜しければお試し下さい」と声をかけて頂いたので、お言葉に甘えそうすることにしました。

初めは、林檎酢だけにしようと思っていました。
が、他のモノも魅力的だったので、あれこれと試してみることにしました。
その間お客も来なかったので、勧められるまま味見をし...結局「林檎酢」「黒豆酢」「無花果酢」「紅芋酢」「柚子ぽん酢」の5種をテイスティングしてしまいました(ぽん酢を試した後、口内をリフレッシュにとミネラルウォーターを頂けたのには感動)。

気持ちとしては、あと2種類くらい利きたいところでした。でも、あんまり長居するのもなんなので、酢を購入し店を後にすることにしました。買ったのは3種類。初めは知人用に林檎酢だけにするつもりでした。でも...その親切な対応に(メールの通りでした)またもや嬉しくなってしまい。で、ついつい財布の紐が緩くなってしまい(でも、これでもかなり抑えて買ったほう)。

いやしかし、まさか、特設会場でのんびり酢を利き、なおかつ、酢の話まで色々と聞けるとは。こんなにあれこれと”利き酢”をしたのは初めてだったので、とても楽しい時間となりました。

・・・

有名な店の中には、横柄な対応をするところが少なからず存在します。しかしここ飯尾醸造は違いました。その姿勢を見て、商品を口にして「ああ、こういった方々が携わっているところなら間違いないな」との思いが強くなりました。きっとこれからも、ブランドにあぐらを掻くことなく、心のこもったお酢を我々に届けてくれることと思います。これからの展開も楽しみです。


[心を頂く]_e0011761_22414726.jpg
[購入した酢] 飯尾醸造

左から「紅芋酢」「林檎酢」「黒豆酢」

紅芋酢:口に含んだ後に芋の香りがフワリ

黒豆酢:鎮江の黒酢を想起させる香味。中華に合いそう

林檎酢:その凝縮感に言葉を失う





いやーどれも最高です。
それぞれに味があり、この酢だったらこういう料理に合うかな〜と想像力を掻き立てられます。これは、商品に心やら愛やらが込められているからこそ為し得る味に違いありません。中でも水を使わず造ったという林檎酢は、心身ともに染みました。
食について真摯に取り組む方々の、心と心の出会いによって生まれた、まさに心づくしの逸品だと思います、これは。
(木村さんが栽培に使っている酢は、実は富士酢。そして、飯尾醸造は木村さんから無農薬栽培の技術指導を受けている。良い循環ですね)。

今回の体験を通じ、改めて酢の奥深さを感じ入りました。


* 追記 *
京都展は、1/15(月)まで開催するとのことです。
興味がある方は、一度足を運んでみては如何でしょうか?

人によっては値段が高いと感じるかもしれません。しかし、その内容をみれば(通常のお酢の数倍以上もの栄養を含有している)それは適正価格だと分かるはずです。いや、手間等も考えたら、真っ当な日本酒同様、この価格はむしろ安いくらいだと思います。
by taka-sare | 2007-01-13 04:59 | 飲む・食べる・呑む
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