[羊&鶴の夕べ]

以前、羊肉と竹鶴のマリアージュについて書きました。
以来、私はその事について色々と考え過ぎてしまい、遂に不眠症に陥ってしまいました。
というのは半分冗談、半分本当の話。

あれから約5ヶ月。その間、一体、どのくらい羊を数えたでしょうか。そして、どのくらい羊を食べたでしょうか。しかし、幾ら数えようと、幾ら食べようと、明確な答えを導きだす事は出来ませんでした(幾つかの自説はあり)。
もう羊を数えるのは疲れた。食べるのも...(こっちはまだ続けてヨシ)。じゃあどうすれば...こうなったらもう酒を造っている本人に聞いてみるしか...

そんな私の思いが酒の神様に通じたのでしょうか。ひょんな事から先日、我が地元にて石川杜氏(竹鶴酒造)にお会い出来る事になりました。これは本当の話。

・・・

20日18:00。某蕎麦屋にて石川杜氏を囲む会スタート。
...の前に、友人より「スタッフ参加求む」の要請を受けていた私は開宴前に入店。物資調達や調理の手伝いを行いながら、大魔神(石川杜氏の愛称の一つ)を迎え撃つ態勢を整えました。

18:00過ぎ。ぱらぱらと参加者が訪れ始め。19:30頃、石川杜氏到着。
何となく決まり、何となく声をかけた会だったにも関わらず、蕎麦屋の店主繋がり、燗酒仲間繋がり、酒屋繋がり等で、最終的に総勢15名(内、スタッフ兼参加4名)が、埼玉の辺境に集まりました。中には水戸から来られた方も。曰く「石川さんに会う為なら」。あ、東京に出張中という方もおりました(鞄の中に錫ちろりが!)。改めてその人気の凄さを思い知った次第。

と、このままレポートを書き続けると取り留めの無い事になってしまいそうなので(というか書けない)、手抜きで大変申し訳ありませんが、その後の事はサラサラッとご紹介。



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店主が用意した酒やら参加者持参の酒やら(一部)。BY違いの生もとやら貴重な番外編やら、参加者から様々な竹鶴が提供されました。
されど店主は竹鶴の使徒と同時に「どぶレンジャー」。ということで?開始早々は、竹鶴ではなく「どぶ」を燗し続けていました。




e0011761_23273519.jpg店主得意のレバペ。これに合わせる蕎麦クレープを出すと、それを見た石川杜氏が「あれ?なんでここにひねり餅があるんだろうって思っちゃったよ」。その洒落た切り返しに皆爆笑。他に鴨ロース、穴子煮こごり、ブルーの塩粕漬け、豆乳湯葉、だだ茶豆豆腐、芋、アスパラ、三河の干物なども。のち、三役の登場。


先ずは(だっけ?)この日の山場の一つ。というか、実はこれがメインとの噂がある羊料理が登場。一部からは「蕎麦屋で羊肉なんて普通絶対ありえないよね」との声が(笑)。仰る通り蕎麦屋にしては全体的に肉色が濃い。でも今回は仕方が無いのです(今回は?)。竹鶴と羊肉は切っても切れない、相思相愛の関係なのだから。


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私の好物。泣く子も黙る?モンゴル風羊の水煮「シュウパウロー」(モンゴル語で「チャンスン・マハ」)を。今回は羊が駄目な方が来るということだったので、その方が好きになるよう丁寧にアクをとり味を微調整。それが故かは分かりませんが、出来上がりはこの時よりもクリーミーになりました(脂に力あり)。結果は好評だった模様で一安心。


その後、この日のメイン中のメインであるジンギスカンに...いやいやその前に蕎麦でしょう。ということで、三種の蕎麦が登場。先ずは「テレビで有名になった"外二"からいきます・笑」と店主から説明が。次いで、十割(福井)、十割(北海道)とリレー。この食べ比べは非常に好評で、皆その違いにウンウン頷きながら一心不乱に蕎麦を手繰っておりました。この日唯一の蕎麦屋っぽい瞬間。今回初めて訪れた方は「この店主が本当に蕎麦屋を?」と不安に思ったかもしれませんが、これでやっと信じる気になったことでしょう。

でその後に、ジンギスカン...というか単なる焼き肉に突入。この日の為に仕込んだという店主特製のタレに漬かった肉やプレーンの肉を、ジュージュー焼いては口に放り込み竹鶴をグビリ。肉が無くなるまでこのループを繰り返す。ジンギスカン用にと用意したキャベツは、石川杜氏と若い衆がチェイサー代わりにそのままバリバリと。「旨いですねぇ」と羊肉に喰らいつきながら竹鶴を飲む石川杜氏。眼福なり。


e0011761_23262050.jpg[鶴と亀]

左は、石川杜氏から提供された「ひこ孫 純米吟醸 94年4月詰」。右は、以前友人と飲む為に私が買ってきたパック酒「山吹色の酒(沢の鶴)」。鶴は鶴でも竹ではなく沢の方ね。やまけんブログを読んでから買ったので...そろそろ開詮して4ヶ月経過したのかな?



酒瓶が並ぶテーブルにさり気なく置いておいたのですが、そこはさすが石川杜氏。遠くの席にいても直ぐにこれを見つけ「あ!なんでその酒があるんですか!?」。すると参加者の一部から「実は...なんでこの場にパック酒があるのか、ずっと気になっていまして...」という声が。そりゃあ普通だったら、何故石川杜氏のいるこの場にパック酒が!?って思いますよねぇ。

やまけんブログにて、石川杜氏が何故この酒に注目しているのかが書かれていました。そこで折角の機会だからと、石川杜氏ご本人にその心を語って頂くことに。するとパック酒を片手に「いい酒とは何か」と静かに、かつ熱く展開する石川杜氏。美味い不味いか、という点で留まらないその持論は、竹鶴同様とても力強く、そして奥深いものがありました。

その時々に出てくる石川杜氏の持論を聞いて感じたこと。それは、あらゆる事象に対し疑問を抱き、自問自答を繰り返している方だなぁ、ということでした。惰性で物事に接しないというか。普通の人なら「常識だから」「興味が無いから」とスルーしてしまうような些細な事にもしっかり目を向けている。先入観に捕われないから、その都度、恐れず色々な挑戦が行える。そしてその時々に出会す成功、失敗を同等に扱い、それを糧に再び自問自答を繰り返す。そこに潜む、内在するものは何か。本質は何か。完全とは正しい姿なのか、等々。その際、酒の世界に留まらず、森羅万象に照らし合わせる事を忘れない。そこが石川杜氏の凄い所。
そういった姿勢があるからこそ、常に色々なテーマを持って酒造りに挑めるのでしょう。しかし、分かっていてもそれはそう簡単に出来る事ではありません。見聞きはしていましたが改めて感服。いやはや、ホントお大きい人ですわ。

・・・

え?羊肉と竹鶴の関係について?
いや、それはまたの機会にということで。
今はもう、イッパイイッパイです。
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by taka-sare | 2008-10-22 20:48 | 飲む・食べる・呑む | Comments(0)
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