[もしもし亀よ]

自慢じゃないですが、我が地元には見所というべき見所はほとんどありません。
もしアド街ック天国でとりあげられても、きっとベスト30もネタが無いと思います。
(探せばあるのかもしれませんが)

そんな我が地元に、昨日の昼過ぎ、東京在住の知人Hさんがやってきました。
ちなみに、その知人は立石で「N」という飲食店を営んでいます。
ときたら目的先はただ一つ。
そうです。鉄博...ではなく、あの蕎麦屋しかありません。

友人よりその報を受けたのは当日の朝でした。日頃よりお世話になっているHさんが初訪問。となれば出迎えるしかないでしょう。ということで、私はその日にあった予定を全てキャンセルし(←単に暇だったという噂も)急いで蕎麦屋へと向かったのでした。

・・・

Hさんがひとしきり蕎麦屋酒を堪能した所でお店は中休みに。
すると、友人からHさんにこんな提案が。「折角ですから酒蔵見学に行きませんか?」
「でも蕎麦の仕込みがあるのでは?」と心配するHさん。それに対し「大丈夫ですから行きましょう」と友人。ということで急遽、店から程近い場所にある醸造元へ向かう事に。

タカサレ号を走らせる事10分ちょい。住宅地の中にひっそりと佇む蔵へ到着。
蔵周辺の環境。直営商店の内外観。店脇にある自販機。
そのどれもがHさんに刺激を与えたようで、両の目はキラキラ。
分かります、その気持ち。

事務所へと向かうと、友人は引き戸を開け「専務はいらっしゃいますか?」。
しばらくすると、奥から「ん?なに?」と面倒くさそうな(すみません)オーラを放ちながら専務が登場(訪問した人が必ず口にする「いつものあの感じ」です)。手みやげを渡しつつ「見学させて頂けませんか」と聞くと、頭をガシガシと掻きむしりながら「見るもんなんて何も無いよ」。その様子から「飛び込みだもんなぁ(実はアポなし)。そりゃあ無理な注文だわな」と思っていると...専務は前触れも無く我々を誘導し蔵の中を案内し始めました。

ポイントとなる場所では、そこにまつわる話をあれこれとしてくれる専務さん。
基本的に素っ気ない応対。しかしそれは過剰な表現をしないだけであって、言動のあちこちに実直さや優しさが見え隠れ。結局、終わってみれば結構な時間になっていました。
その後も、蔵の外で話を続ける専務さん。蔵は雑木林に囲まれているので大量の蚊が生息しています。今は酒造りが休みの期間。ゆえに蔵人は僅かしかいません。となれば蚊にとって我々は格好の栄養源なわけで。あっという間に顔と腕がボコボコになったのは言うまでもありません。ま、時間を割いて頂いた事を思えば、これしきの事は...(痒)。

その後、専務は「あっちのコンテナじゃないと開かないか」と呟くように言ったかと思うと、踵を返し先ほどいた場所へと歩を進めました。どこへ行くのかな?と思いつつ、カルガモの子供の如くその後ろを追いかける我々。すると専務は冷蔵庫の扉を開けると中へ入り「ん〜。何がいいかなぁ」。で、我々に中に入るよう促すと「一人一本ね」と瓶を我々に手渡しました。アポなし訪問だったのにも関わらず手みやげを頂き、皆、えぇ〜!?と困惑、感激、そして恐縮。そんな我々をよそに「39℃ね」「クリーム系の料理」「メロンの熟したやつ」「ナシもいいか」「これから出るリンゴもいいな」と要点をレクチャー。それを聞きながら頭の中でイメージを膨らませる私。思わず喉が鳴る。私でそうなのだから、同行の飲食店の主人二人は尚の事だったに違いない。

・・・

そろそろお暇させて頂きますと、蔵を後にしようとしたその瞬間、専務は我々を見送りながら静かに一言こう言いました。「二度とこういう事は無いように」。その言葉に皆苦笑。そして大笑い。その痺れる言葉と感謝の気持ちを胸に、我々は蔵を後にしました。
帰りにHさんが「専務はうちのおじさんとか親戚関係にそっくりだなぁ。ぶっきらぼうだけど、根が優しくて温かい。いい人だなぁ。」といったような事を言っていましたが、全くもって同感です。

酒が醸されし空間に立ち、その空気、雰囲気を味わい、色々な思いを馳せる。
その瞬間、そこで造られし酒が、ぐっと身近な存在に感じられ愛おしくなる。
そこが、日頃より愛飲する酒が生まれし場所なら尚の事。

酒に限らず、生産者と消費者との間にきちんとした繋がりがあれば、不誠実なことなんて出来ないよなぁ。お互いに。
帰りの道中、蚊に刺された箇所をぼりぼりと掻きながら、ふとそんな事を考える。
でも一番考えていたのは...いうまでも無し。



専務から39℃に燗する際、一番簡単な方法を伝授されました。

その方法とは...と耳を傾ける我々一同。すると専務は一言

「熱出しているやつに抱いてもらえばいい」

そうきましたか!(笑)
でも、折角頂いたこの土産を誰かに抱かせるのはなぁ。
ということで、自分が熱を出した時に実践する事にします。
ええ、もちろん呑みますとも。薬代わりに。
その際は是非、グラタンやゴルゴンゾーラやメロン等を持って見舞いに来て下さい。
きっと物凄く早く回復すると思いますので(興奮して熱燗になってしまうかも?)。
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by taka-sare | 2008-09-18 23:59 | 出先・旅先での一コマ | Comments(2)
Commented by まき子 at 2008-09-19 06:15 x
専務の「いつものあの感じ」を思い浮かべて、また懐かしく感じてしまいました。
いつでもあのペースですが、やっぱり色々と蔵を案内してくれたり、
タメになる事・面白い事を話してくれたり、
なんだか気が付くと、手にお土産もたせてくれてたり。。。
あんな温かい方を見てると全国にファンがいるのも分かります。
Commented by taka-sare at 2008-09-19 23:28
■まき子さん
あの拍子抜けするほど飾らない事務所及び外観。
そこから生み出されるまっとうな酒達。
それらは見事に専務の人柄を表しているなぁと感じます。
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