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[コピ・ルアックを飲んだことありますか?]

去年だったか、今年だったか。
仕事で知り合った方から、こんな(タイトルにある)質問をされました。

ご存じかも知れませんが「コピ・ルアック」は

・完熟したコーヒーチェリーをジャコウネコが食べる
・種子にあたるコーヒー豆(パーチメントの状態)が消化されずに排泄される
・その中から、現地の農民がコーヒー豆(パーチメント)を取り出し洗浄する

といった過程によって出来る、なんとも風変わりな珈琲です。
(コピは珈琲。ルアックはジャコウネコの意)

珈琲が趣味の私は、珈琲に関するものは出来るだけ試すようにしてきました。
しかしコピ・ルアックは、あえて飲もうとはしませんでした。
何故か。それは...話せば長くなるので割愛します。
まぁ強いて言えば
「待っていよう。その時が向こうのほうからやって来るまで」
と思っていたから。

・・・

それはさておき、一体何故こんな質問をしてきたのだろう?
今でこそ、映画「かもめ食堂」でその名が知られるようになりましたが...基本的にコピ・ルアックなんて、珈琲好きの間でもかなりマニアックなネタですからね。そうそう話題には出てくるものではありません(珈琲好きの私ですら「まぁ機会があれば飲んでみてもいいかな...」といった程度にしか扱ってこなかった程)。
もしやこのお方、かなりのマニアなのかな?
そう思った私は、その理由を本人に聞いてみることにしました。すると...


質問者の口から 衝撃の事実が!!


なんとこの御方。学生時代にハクビシン(ジャコウネコ科)の研究をしていたらしく。その際、コピ・ルアックの存在を知り、以降ずっと興味を抱いていたのだとか。

え?衝撃でもなんでもない?
まぁまぁ、そこのところは、ビッグなアイでルックしてよ〜!
(何だか最近、テレビでルー大柴をよく見ませんか?)

えーと、何の話でしたっけ。。。あ、そうでした。
で、「珈琲に詳しいタカサレさんなら、もしかして...」
と思い、私にタイトルの質問をしたのだそうです。
いやぁ、まさかそんなアプローチから質問されていたとは。

先に書いた通り、私は飲んだことが無かったので「NO」と答えました。すると今度は「では、コピ・ルアックについて簡単にレクチャーしてもらえませんか?」。うーむ、流石は研究者。探求心・好奇心が旺盛ですなぁ。で、まぁ私で良ければ...ということになり。知る範囲で簡単に説明をすることになったのでした。

・・・

「ちなみに、日本ではイタチ珈琲とも呼ばれているんです」
「え?その呼び名は間違いなのでは?」
さすがは専門家。やはり矛盾を見逃しません。
そうなんです。イタチとジャコウネコはカテゴリー(科)が違うんです。
「では、何故、日本ではそう呼ばれるているのですか?」
「どうもこれは、アメリカでの俗称「Weasel coffee(イタチコーヒー)」をそのまま訳して使ってしまったようなんです」

...といった具合に、コピ・ルアックについて話す私達。すると質問者から「これを機に、コピ・ルアックを試してみませんか」との具体的な提案が。うーむ、もしかすると、遂にその時がやってきたのかも知れないなぁ。そう思った私は、コピ・ルアックを取り寄せることを決心しました。

というわけで。先月、ついに飲んでしまいましたよ。コピ・ルアックを。
いやぁ面白いもんですね、人の縁や運命って。


[コピ・ルアックを飲んだことありますか?]_e0011761_0372690.jpg
豆はこんな感じ。
パッと見、綺麗な感じ。
ピーベリーが混じっています。

それで...味の感想は?



んー。まぁ”今回の”コピ・ルアックに関して言えば...
「可もなく不可もなし」
ですかねぇ。
正直、まだはかりかねていますので、保留と言うことで。

・・・

一応、備忘録として以下に検証内容や所感を書き記しておきます。
ハッキリ言って、珈琲に興味が無い方には全く面白くありません。
なので、もし興味がおありでしたらどうぞ。





一般的に、コピ・ルアックは「独特で複雑な香味を持つ」と言われています。
それは、ジャコウネコの腸内にある消化酵素の働きや腸内細菌による発酵によって、コーヒーに独特の香味が加わるからではないかと言われています。が...真偽の程は定かではありません。

そのシステムの解明についてはお手上げです。しかし、味の解明ならなんとか...
てなわけで、実際にあれこれ試し、噂の真相に迫るってみることにしました。

・・・

<幾つかあるコピ・ルアックの中からどれを選ぶか>

・ どの豆を買う? ・

当然のことですが、珈琲の香味は、もと(素材)になる珈琲豆のクオリティーに左右されます。それは、コピ・ルアックといえど変わることはありません。なので、なるべく良さそうな豆(出所)を選択する必要があります。しかし、ルアックが生息するエリア(インド、インドネシア)の珈琲には、ロブスタ種が多く混入しています(一概にロブスタ種が悪いとは言えませんが)。故に、アラビカ種100%のコピ・ルアックを探すことは難しいのでは?と思っていました。しかし。探してみたら、本当かどうかは分かりませんが、アラビカ種100パーセントのコピ・ルアックはありました。

説明書きには
「アラビカ種のみ栽培されている地域のため、ロブスタ種の混入はありません」
とあります。ネット上の写真を見る限りですが、確かにアラビカ種のようです。
ということで、今回はこのコピ・ルアックを選ぶことにしました。


・ 焙煎はどうする? ・

しかし、いくら素材が香味の殆どを決めると言っても、焙煎が悪ければ台無しになります。先程選んだものは、ジェットロースターによる熱風焙煎でした。ジェットロースターでの焙煎は香味が抜けやすい(と思う)ので、正直言うとあまり好ましくありませんでした。しかし、今回は素材を重視することにしたので、目を瞑ることにしました。

その後、他に良さそうな焙煎のものがあったので比較用に購入しようと思いましたが時既に遅し。、残念ながら完売となっていました。

焙煎度合いはどうするか。これも悩みどころです。ローストは生豆の状態に左右されますから。しかし、生豆を見ていないので、こればかりはどうにも判断が付きません。カッピングを意識するならシティーローストより浅い焙煎が適しているのですが、今回はあえてのフルシティーローストで焙煎してもらうことにしました。生豆が手に入るなら自分で焙煎するのも手かもしれません。生豆だと豆の状態が把握出来ましね。今度機会がある時は、そうしてみようかな。


・ どうやって淹れる? ・

味のチェックをするのなら、普段通りの淹れ方が良いと思います。その方が比較がしやすいからです。私はとりあえず、先ずSCAAのカッピング法で香味を確認。その後に、ブレを減らす為メリタ式で淹れてみることにしました。送られてきた豆が焙煎直後のものだったので、常温で1週間放置した後、再度、同様の手順で香味の確認をしてみました。


・ 感想 ・

豆自体の香りは、なんとなく発酵臭?有り。
これがコピ・ルアック特有の香りなのか?
カッピングをしてみると、スペシャルティと呼べる特徴は特に無し。
焙煎度合いがイメージしていたよりも深く、その所為かちょっとよく分からない。
やはり生豆も入手しておくべきだったか。
ドリップし飲んでみると、可もなく不可もなし。まぁ飲みやすい。
これは、ジェットロースターのせいかもしれない。
炒りたてということも影響している感じ。
で、一週間後、もう一度同じ方法で試してみる。
今度はガスが落ち着いたせいか、前回より風味が分かる。
が、やはり特徴的な香味はあまり見つけられず。
やはり可もなく不可もなし。万人が飲みやすいという香味。
もっともこれは、スペシャルティーコーヒーと比べての話だが。

結局、同じ農園で栽培された豆で「ルアックが食べたもの」と「食べていないもの」を比較しない限り、正確にはその違いは分からないだろう。その豆がスペシャルティグレードならなお良し。さらに、それが良き焙煎なら文句なし。

とりあえず、”今回の”コピ・ルアックに関しては
「若干の特徴は感じるものの、香味は可もなく不可もなし」
「焙煎度合いはもう少し浅くしても良かったかも知れない」

以上。


・ 豆情報 ・

品   名:コピ ルアック 8X
生産国:インドネシア
地   域:バリ島
クロップ:2006
スクリーン:スクリーン15アップ
品   種:アラビカ種
精製方法:フルウォッシュド
by taka-sare | 2007-10-05 04:07 | 飲む・食べる・呑む
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