[満月の日に、いざ!宇ち入り]

昨日は中秋の名月。
故に、この日は夜は月を愛でながら、ゆるり一献...
と思っていたのですが。
突如、穏やかな気持ちから一変。攻撃的な思いに支配されました。
そう、草食獣から肉食獣になった...そんな気分に。

これが、古より人々の心を狂わせてきたという月の力なのか。

・・・

結局、神秘なる力には抗うことは出来ず。
この日は、昼間から友人と肉を喰らうことになりました。


e0011761_20132967.jpg13:00過ぎに立石駅に到着。電車を降りると、カレーを初めとした攻撃的な香りが辺り一面にぷ〜ん。階段を下り外に出ると、空からは容赦なき陽光がギラギラ。否応なしに気分は高揚。

13:30。立石駅前にて友人と合流。そのまま目的地へ。

え?向かった先?
そりゃー「立石」「肉」と言ったら...
言わずと知れた、モツ食いにとってはメッカとも言うべき...
お店訪問を「宇ち入り」と称される?
そう、あのモツ焼き屋です。

・・・

歩いて1分も経たずして目的地に到着。

「これが、”あの”モツ焼き屋かぁ...」

苦節5ヶ月弱。遂に、友人から「旨かった」「君は是非行くべきだ!」と言われ続けた店との対面がかないました。
店先では、既に20人弱ほどの人達が、静かにその時(開店)を待っていました。
店内の様子を確認した友人は私に一言
「う〜ん、今日はホネは食べられないかもなぁ」。
曰く、休み明けの日は、特にモツ・ジャンキー(常連)達が押し寄せるらしく、その為稀少な部位は直ぐに売り切れてしまうとのこと。
まぁ、それならそれで仕方がありませんが...さてどうなることやら。

14:00。開店時間になっても店は開かず。次第に常連客達はソワソワ。
中でも一番ソワソワしていたのは、1・2を争うであろう高齢の方でした。
店内では忙しそうに準備をする姿が垣間見られました。が...
もはや限界だったのか。常連と思わしき一人が扉を開けると、顔を突っ込み様子を確認。それを見た店員が外へ出るようやんわり指示。常連は再び定位置に。
まるで「マテ!」をされている犬のよう。

ちなみに、その常連は70歳位の男性でした。
その御仁は、少年のような笑みを浮かべ「いやぁ、もう我慢できないねぇ」などと周りの人に嬉しそうに言っていました。なんて素敵な光景でしょうか。冷静沈着の呼び声が高い?私ですが、その笑顔につられ、思わずソワソワ・ワクワクさせられてしまいました。

そうこうしている内に開店準備が整ったようで、引き戸がガラリ。同時にオッサン達は、牧柵内に入っていく羊たちの如く、店内に吸い込まれていきました。
我々も、その流れに身体を滑り込ませ、店内に。
普通だったら、ここで、席の奪い合いにでもなるところですが...混乱は一切無く。店員の指示のもと、ものの見事に客達は席におさまっていきました。
そう、まるで将棋のコマ並べのように。決められた場所にキッチリと。

と、思っている矢先。堰を切ったかのように一斉に注文開始!
(ここからテンポは終始16〜32ビートに)

この注文が素人にはなかなか難しい。
各々が店員にオーダーしていくのですが、注文の際、部位・味付け・焼き具合・酢を入れるか?等を、符丁とも言うべき言葉で、滞りなく伝えなければならないのです(ちなみに、壁には「モツ焼き 170円」としか書いていない)。
例えば「カシラ肉を素焼き醤油ダレで。ウェルダンで焼いてね。お酢入りで」という内容を注文するには、「カシラスヤキヨクヤキオスイレテ」といった具合に言わなければならない。そしてそれを、嵐のように飛び交うオーダーの合間を見計らいながら、店員に滞りなく言わなければならない。とにかくテンポ・タイミングが命。

噂には聞いていました。予習もしてきました。
しかし...やはり現場は違いました。
勉強はあくまで「実地での経験があってこそ」と強く実感。

なので、初心者は水先案内人と共に来店した方が無難です。
というか必要条件です(1皿2本なので、その方が色んな部位を愉しめるしね)。
ということで私は、宇ち入り歴6回の友人に全てを任せることに。
注文の仕方は、肌で学ぶことにしました。

常連さんを見ていると、焦るわけでもなく、のんびりするわけでもない。
無理なくマイペースで流れに乗っている。だからトラブルが起きない。
感覚としては、首都高をスムースに運転するかのよう。
程よく混んでいる中、小気味よく車線変更、合流等を上手に出来るかどうか。
これは、1・2度位では身に付きそうもありません。

しかし、本当に刮目すべきは常連の注文に非ず。スタッフの動きでした。
四方八方から飛び交う注文に対し、5・6人の店員が連動して対応するのですが、この動きが淀みがなく素晴らしいのです。狭い店内で無駄なくシステマチックに動くその様は、まるでアリのよう。私は思わず「嗚呼、ここはアリ塚だ」と呟いてしまいました。

オシム監督がこの様子を見たらきっと「ファンタスティック!」と言うに違いありません。だって、彼の求めるサッカーの完成系が、ここにあるのですから(ホントか?)。

・・・

さて、肝心の味の感想ですが。
それについては、あちらこちらに書かれていますし、好みもありますので割愛します。

食べた部位は(多分)以下の通り。

カシラ、ハツ、ガツ、ナンコツ、レバ、シロ、アブラ、タンナマ、ハツモト、フワ、ホネ、ツル、テッポウ、シンキ...あれ?結局、殆ど食べたのかな?
多分、ホネとツルは初体験。
ちなみに、ホネは下顎骨周辺部の肉のこと。旨し。
ツルは・・・。旨し。
酒は、ビール1本にウメ3杯(友人は5.5杯)。

どれもが、ヘモグロビンを感じさせるフレッシュさがあって素晴らしかった。
中でも、個人的には、カシラ、タンナマ、ツルにはグッときました。
ま、男なら(女も?)ツルにグッときて当然か!?(笑)

・・・

そうこうしている内に小一時間が経過。って、まだそれしか経っていないの!?
うぅむ。なんと濃厚かつ濃密な時間なんだろう。

しかし、この店のスタイルで長居をするのは邪道、というか野暮というものです。なので、頃合いを見計らってお勘定を済ませることに(うぉっ、安っ!!)。
ちなみにお酒の杯数は自己申告制ですので、各々杯数を忘れぬよう。
ま、おそらく店員は全て把握しているんだろうけど。


e0011761_12404464.jpg店を出ると、店先にはモツに取り憑かれしオッサン達がさらに増殖していました。
まったく、平日の昼間だというのに...一体、どこから湧いてきたのだろうか。
え?我々も同じ?
いやいや、友人はともかく、私は初めてですから...
え?もう洗礼を受けたからダメ?
う〜ん。そうかも。

おそらく、月以上の引力が、ここにはあるのでしょう。
恐るべし、立石。恐るべし、モツ教(狂)総本山。

しかし、本当に恐るべきものは「ウメ(焼酎)」だったとは...
恐るべし、恐るべし。



* 追記 *

本文中で、初めて宇ち入りする方は水先案内人と共に行く方が良いと書きましたが、友人曰く「2名がベスト。3名以上は極力やめた方がいい」とのことでした。確かに場所取りのことや、注文のことを考えるとその方が無難かもしれません。
また、初心者だけど一人で行ってみたいという方は、行く前に公式応援サイト(?)の「宇ち入り倶楽部」を熟読し、何度もイメトレすることをオススメします。
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by taka-sare | 2007-09-26 18:51 | 飲む・食べる・呑む | Comments(4)
Commented by itacha at 2007-09-26 20:59
一気に読んでしまいました。。。
動物丸出し感、なんとも興奮!しかも、呪文付き。
ジャンキーおっさん、これ食ってどこに行く?てな感じですね♪
Commented by taka-sare at 2007-09-26 23:30
>itachaさん

まさに「ジャンキーおじさん、何処に行く?」の世界でした(笑)
いやしかし、臓物のみを喰らい続けると、農耕民族である前に肉食動物であったという事実を思い起こされますね。DNAレベルで。
肉食の本質は臓物食にありッス。
Commented by おひさまママ at 2007-09-27 19:59 x
子供らが大きくなったら連れていってもらおう♪
無性にモツが食べたくなってきた。
Commented by taka-sare at 2007-09-27 20:21
>おひさまママ

是非是非!
否否否否!!
諸行無常。欲肉喰、不迷即実行!!!
無問題!!!?
保証絶対。解消育児疲。鋭気充実。括弧笑。

...文字化けみたいだ。
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