[心を頂く 3]

先週は月曜から金曜日まで、仕事で静岡県西部に行ってました。
今日のタカサレは、その時にあった話から。

・・・

朝7時から約9時間、寒風吹き荒ぶ中、野外で突っ立っていた時のこと(看板持ちや棒振りではありませんよ)。すぐ近くの家に住む老婦人が、手にマグカップを持ち「こんにちは」とこちらに歩み寄ってきました。「こんにちは」と私が返すと、婦人は微笑みこう言いました。

「寒い中大変ですね。良かったら甘酒でもどうですか?」

隣人とすら交流しないと言われるようなご時世に...
私はこの心遣いに感激し、何度も何度も御礼を言いました。

人肌に温められていた甘酒は、外気に触れ直ぐに冷甘酒となってしまいましたが、それは大した問題ではありませんでした。

・・・

思いやりというものは、何にも勝る温かさだなぁ。

そう思いながら仕事を続けていると、先程の老婦人が今度はアルミホイルを手に、再びこちらに歩み寄ってきました。ん?どうしたのかな?と思っている私に向かって、婦人はこう言いました。

「さっきお話ししたシシ肉。宜しければ如何ですか?」

そう、実は先程立ち話をした際「知り合いの猟師が猪肉を持ってきてくれましてね」という話があったのです。時は丁度、お昼頃。今度は感謝の言葉すら出てこなく、私はもう、ただただ頭を下げることしか出来ませんでした。

老婦人は「お口に合わなかったらご免なさいね」と言うと私のもとを後に。
家に戻る婦人に会釈をした私は、早速、猪肉を頂くことにしました。


e0011761_14104361.jpg[猪肉 甘辛焼き]

味付けは甘辛。
焼かれた肉はジューシー。
噛めば噛むほど旨味が滲み出てきます。

あー、米食いてー、酒飲みてーと悶絶。



これがもう旨いの何のって。
イベリコ豚に全くひけをとらないくらい?でした。
やはり野生の肉には説得力があり、本質がありますねぇ。

これは自分一人で食べるのはもったいない。そう思った私は二口程度にとどめ、残りをアルミホイルに包み、仕事仲間に食べて貰うことにしました。
仕事が終わった後、シシ肉を頬張った仲間は皆口々に「ウメー!」。

いやー、本当にじんわりと胸に染み入る旨さでした。
でも、一番染みたのは、その心遣いです。

この日は寒かった。
でも...私にとって温かい一日となったのは言うまでもありません。




このご婦人夫妻が住まわれている家は、300年前からその姿をほとんど変えずにその場にあるのだとか。庭の手入れ具合や外観から、先祖代々受け継がれてきたその家を大事に大事に使っている事が窺い知ることが出来た。

決して豪華ではない。大きくもない。しかし、その佇まいからは品格が感じられた。そこで私は「実は、一目見た時から素敵な家だなぁと思っていたんですよ」とその思いを伝えた。すると、婦人は「外見はまだ何とか見られるのですけれど...でもね、中はボロですし...ホコリだらけなんですよ」と照れ笑い。

「きっとそのホコリは、埃ではなくこの家に住まわれてきた方々皆の誇りなんだと思います」と私が言うと、婦人は刹那沈黙を保った後、微笑んでこう一言。

「そうだといいんですけれど...」

その時に見せた表情には、どこか嬉しさが現れていたように見えた。
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by taka-sare | 2007-01-21 03:42 | 出先・旅先での一コマ | Comments(2)
Commented by タカオ at 2007-01-26 15:12 x
こんにちは
素敵な経験ですね
こちらも心癒されます。
寒さ厳しくなるのでお体にお気をつけて





Commented by taka-sare at 2007-01-27 02:25
>タカオさん

>寒さ厳しくなるのでお体にお気をつけて
ありがとうございます。タカオさんも御自愛下さい。

私の心がささくれているのか、はたまた、年なのか...
最近、人の心遣いがやたら染みるようになりました。

仕事中、胸を痛める出会いも少なくないのですが、こういった出会いでその全ては帳消しにされます。
タカオさんも含め、温かな心にホント感謝です。
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