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[寒い日に、チヂミを食べる]

最近、背中を丸め「寒い寒い」と口にすることがしばしばあります。
今年の冬はとにかく寒いので、仕方がないとは思うのですが
あんまりこの状態が続くと、体のみならず心まで縮み上がってしまいそうで
気分的に宜しくありません。
(心が縮こまると、発想が貧困になったり、精神が病んだりしますからね)

こういった時は、美味しいものを食べ、心や体に栄養を与えるのが一番です。
でも贅沢をしてしまうと、今度は懐が寒くなってしまいます。
では一体どうすれば?
ここはやはり、安くて美味しい“旬”なものを食すに限るでしょう!
ということで、昨日はこの季節ならではの食材を探してみることにしました。

・・・

[寒い日に、チヂミを食べる]_e0011761_13391175.jpg[寒締め 縮みほうれん草]

しおれているように見えますが
”縮み” の名が示す通り
これが通常の姿です。

今回はオヒタシにしましたが
常夜鍋にも良さそうです。



冬の寒い時期になると、その時期だけにしか食べられないものが幾つかあります。
その中の一つがコレ、寒締め”ちぢみ”ほうれん草です。

冬場のほうれん草は、甘みがあって美味しいと良く耳にします。
夏と冬のほうれん草では品種的に違いがあるから?
確かにそれも関係しているかもしれません。
しかしその事を差し引いても、冬のほうれん草が甘みを持つのには理由があります。

ほうれん草は厳しい寒さにあうと、自ら生育を遅らせたり停止したりします。
また、霜や氷点下の寒さで凍りつくのを防ぐ為、細胞中の水分量を低下させます。
そうやって、ほうれん草は寒さから自身を守ります。

細胞中の水分量が少なくなると、糖分やミネラルは凝縮されます。
結果、冬のほうれん草は甘みがあって美味しくなるのです。

寒じめ縮みほうれん草の栽培は、このメカニズムを利用しているというわけです。

・・・

厳しい寒さにほうれん草は縮み、そして百姓も縮む。
二つの生命が、”寒さ”という厳しい状況に向き合い
そうして初めて、このほうれん草の美味しさは生まれます。

この風味の濃さは、即ち、命の濃さというわけか...

ただ寒い寒いと縮こまっている私とはワケが違いますね。

ほんの少しですが、背筋が伸びる思いがします。



* 寒締め縮みほうれん草 *

「寒じめ」とは、ビニールハウス内で野菜が育った状態の時にビニールを外してしまい、意図的に寒気にさらす方法。急な寒気に当たることで、ほうれん草は葉が葉脈にそって縮まり、また、丸みをおびた厚みがある緑の濃い葉になる。一般的なほうれん草に比べ甘味が濃い。
by taka-sare | 2006-01-30 23:59 | 飲む・食べる・呑む
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