今日は秋分。
近頃は熱いと思えるほどの暑さは無くなり、涼しさを感じる日が増えてきました。 昼と夜の長さがほぼ同じになるこの日は、秋彼岸の中日でもあります。 そして、秋の七草が咲き揃う頃です。 ・・・ 春の七草は、「食べて無病息災を祝う」とされていますが 秋の七草は、「眺めて楽しむもの」と言われています。 その秋の七草を山上憶良は「万葉集(第八巻)」に次のように詠んでいます。 秋の野に咲きたる花を指(および)折り かき数ふれば七種(ななくさ)の花 萩が花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花(おみなえし) また 藤袴 朝貌(あさがお)の花… 「尾花」とはススキのことです。 「朝貌」はヒルガオ科のアサガオではなく、キキョウだとされています。 (日本最古の漢和辞典「新撰字鏡」(898年頃)に「桔梗、加良久波又云阿佐加保」 とあることから、桔梗に”あさがほ”の古名があるとされている) この七つの草が、秋を代表する草花として変わることなく伝えられてきたということは まさに、日本の秋を表すのに最適な草花だったのかもしれません。 そうして七草のある秋の風景は、日本人の原風景となりました。 しかし、万葉の時代より受け継がれてきた秋の七草も 最近ではすっかり、その全てを見ることは出来なくなりました。 いつの日か秋の七草は、眺めて楽しむものではなく 古(いにしえ)の秋を思い浮かべる為の、"語り草"となってしまうのかも知れませんね。
by taka-sare
| 2005-09-23 13:53
| 自然・季節に触れて
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